榧とはどんな木?|特徴と歴史
榧(カヤ)は、日本に古くから自生するイチイ科の針葉樹で、特に本州南部や四国、九州でよく見られます。ゆっくりと成長するため、年輪が細かく詰まっており、美しい木目と高い耐久性を備えた木材として知られています。
かつては寺社建築にも用いられるほどの高級木材で、今でもその希少価値は変わっていません。成長速度が遅く、太くなるまでに何十年もかかるため、直径30cm以上の良材は非常に貴重です。
また、榧は油分を多く含み、しっとりとした手触りと自然な艶を持っています。色味は黄みを帯びた明るいトーンで、空間をやわらかく、あたたかい雰囲気にしてくれます。
高級将棋盤にも使われる理由

「榧=将棋盤」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実は、プロ棋士が公式戦で使用する高級将棋盤のほとんどが榧材です。
その理由は、以下のような特性にあります。
特性 | 内容 |
---|---|
音の響き | 指したときの「カチッ」という音が澄んで心地よい |
木目の美しさ | 年輪が均一で、目に優しい |
耐久性 | 反りや割れに強く、長く使える |
香り | 仄かに甘く上品な香りが心を落ち着かせる |
これらの要素が合わさることで、集中力を高め、心を整える効果があるとされ、まさに勝負の場にふさわしい素材なのです。
榧の木目と香りがもたらす癒し効果
榧の一枚板をインテリアに取り入れたとき、その魅力は見た目だけにとどまりません。木目の流れがやさしく、どこか柔らかい印象を与えてくれるため、視覚的にも癒されます。
さらに、榧には独特の甘く上品な香りがあります。この香りにはリラックス効果があり、森林浴のような心地よさを室内でも楽しめます。アロマのように強すぎる香りではなく、ふわっと漂う自然な香りが特徴です。
特にダイニングテーブルやローテーブルなど、毎日手に触れる家具として取り入れることで、ふとした瞬間にその香りや手触りに癒される時間が生まれます。
榧の一枚板を選ぶときのポイント

榧の一枚板を選ぶ際には、以下のポイントを意識すると、自分にぴったりの一枚に出会えるかもしれません。
1. 木目の流れを見る
榧は年輪が細かく、均一な木目が特徴ですが、板によって表情が異なります。まっすぐな木目はすっきりとした印象、波打つような木目は動きがあり、空間のアクセントになります。
2. 香りの好みを確かめる
香りの感じ方は人それぞれです。実際に現物を確かめられる機会があれば、ぜひ香りも確認してみてください。ほんのり甘くてスパイシーな香りに癒される人もいれば、やや個性的に感じる場合もあります。
3. サイズと設置場所のバランス
榧はしっかりとした存在感があるため、空間とのバランスも大切です。広いリビングには幅広の板、小さなダイニングにはスリムなサイズを選ぶことで、圧迫感を避けつつ榧の魅力をしっかり楽しめます。
4. 仕上げの種類もチェック
オイル仕上げにすると木の風合いと香りがより引き立ちますが、ウレタン塗装で耐水性を持たせる方法もあります。用途や好みに応じて選びましょう。
榧(カヤ)の一枚板は、ただの家具ではなく、日々の暮らしにそっと寄り添ってくれるパートナーのような存在です。忙しい毎日の中で、ほっとひと息つく時間。その瞬間に、榧のぬくもりと香りがそっと包み込んでくれる。そんな暮らしの一場面を、ぜひ手に入れてみてください。