国産クルミの価値と海外産ウォールナットとの違い

一枚板や無垢家具を探していると、
- 「ウォールナット」
- 「クルミ(Japanese Walnut)」
という名前を目にすることが多いと思います。
どちらもクルミ科の木ですが、日本の木材業界では
- ウォールナット=北米産ブラックウォールナット材
- クルミ=日本のクルミ材
というように、別の木として扱われています。
では、日本の「クルミ」と海外産の「ウォールナット」には、どのような違いがあるのでしょうか。本記事では、
- 国産クルミ材の特徴
- 北米産ウォールナットとの違い
- どういう人にどちらが向いているか
を分かりやすく解説します。
国産クルミ(Japanese Walnut)とは
ここでいう国産クルミとは、主に オニグルミ など、日本に自生するクルミの仲間を指します。北海道〜本州各地に分布し、昔から暮らしの中で利用されてきた木です。
特徴的な色合い
- 辺材:灰白色〜やや黄みを帯びた明るい色
- 心材:淡い〜中間的な茶褐色(少し赤みが出ることも)
全体としては、「濃すぎない、やさしいブラウン」で、ナチュラルな雰囲気のインテリアによくなじみます。
年月とともに少しずつ色に深みが増し、飴色っぽく変化していく のも魅力です。
木目と質感
クルミ材の木目は、
- 穏やかで柔らかい表情
- 派手すぎないが、近くで見ると“揺らぎ”や表情がある
- という特徴があります。木肌は比較的なめらかで、
あたたかみのある素朴な雰囲気 を持っています。
硬さ・使い心地
クルミ材は、広葉樹の中では 中くらい〜やや柔らかめ のグループです。
適度な硬さがありつつ、
「触ったときに冷たすぎない・重すぎない」バランスの良い材と言えます。
海外産ウォールナット(ブラックウォールナット)とは
木材業界で「ウォールナット」といえば、ほぼ 北米産ブラックウォールナット(学名:Juglans nigra) のことです。世界的にも高級家具材として位置づけられています。
濃く重厚な色合い
- 心材:チョコレート色〜紫がかった濃い褐色
- 辺材:白〜明るいクリーム色
濃淡のコントラストがはっきりしており、重厚でシックな印象 が強い木です。
経年変化としては、濃い茶色から、少しずつ 明るく黄みがかったブラウン に変化していくと説明されることが多いです。
硬さと耐久性
ブラックウォールナットは、クルミに比べて 一段階しっかり硬い・重い材 です。
そのため、
- テーブル天板
- 床材
- 椅子やソファのフレーム
- 銃床・楽器用材
など、強度や耐久性が求められる用途にも広く使われています。
国産クルミと海外産ウォールナットの主な違い
1. 色合いと雰囲気
国産クルミ
- 明るめ〜中間的なブラウン
- ナチュラルでやさしい雰囲気
- 経年で少しずつ濃くなり、飴色のような深みが出てくる
ブラックウォールナット
-
非常に濃いチョコレートブラウン
-
コントラストが強く、重厚感・高級感がある
-
時間とともに、やや明るく黄みを帯びた色へと変化
部屋を明るめ・ナチュラルにまとめたい → クルミ
ホテルライク・シックにまとめたい → ウォールナット
というイメージで考えると分かりやすいです。
2. 木目の表情
クルミ(国産)
-
穏やかな木目で、主張しすぎない
-
ナチュラル系・北欧インテリアと相性◎
-
節や皮がある材を選ぶと、素朴でラフな表情にも
ブラックウォールナット
-
うねりや渦巻き、杢など、表情が豊かになりやすい
-
1枚で空間の主役になる存在感が出る
どちらが「美しいか」ではなく、
好みの世界観やインテリアのテイストに合うかどうか で選ぶのがおすすめです。
3. 硬さ・使い勝手
-
ウォールナット:クルミよりも硬く重い
→ 傷に対してやや強く、長期使用にも向く -
クルミ:中くらい〜やや柔らかめ
→ 小さな当たり傷はつきやすいが、足触りや手触りが柔らかい
「多少の小傷も味として楽しみたい」派ならクルミ、
「できるだけ傷が目立ちにくい方が安心」という方にはウォールナットが向きます。
4. 価格帯と入手性
市場全体で見ると、
-
ウォールナット:世界的な人気に加え、近年のウッドショックもあり、高級材ポジション
-
クルミ:同じクルミ科の中では比較的手の届きやすい価格帯(ただし、幅広・厚みのある良材はしっかりした値段)
という傾向があります。
ただし、一枚板クラスになると、
-
板の大きさ(長さ・幅・厚み)
-
木目の表情
-
節・割れの有無
-
乾燥や仕上げのクオリティ
によって価格は大きく変わるため、「必ずどっちが高い」とは言い切れない のが正直なところです。
国産クルミが選ばれる理由
海外産ウォールナットに比べて、国産クルミには次のような魅力があります。
1. 日本の家に馴染む色と質感
-
無垢フローリング
-
漆喰・クロスの白壁
-
和室や障子のある空間
など、日本の家の要素との相性が非常に良い色味 です。
「暗くなりすぎず、でも安っぽくも見せたくない」というときにちょうどよい存在感になります。
2. 暮らしに寄り添う経年変化
クルミは、使い込むほどに少しずつ色が深まり、手の触れる部分から艶が出てきます。
大きな色変化ではなく、「いつの間にか、いい感じになっている」というタイプの経年変化なので、長く付き合いやすい木です。
3. 国産材を選ぶという価値観
輸送距離の短い国産材を選ぶことは、
-
森林資源の循環
-
CO₂排出の抑制
といった観点からも評価されるようになってきています。
「どうせ買うなら、なるべく国内の木を使いたい」という方には、国産クルミは有力な選択肢になります。
クルミとウォールナット、それぞれ向いている人
国産クルミが向いている人
-
明るめ〜中間トーンのナチュラルインテリアが好き
-
和と北欧のミックスのような雰囲気にしたい
-
足触り・手触りのやわらかさを重視したい
-
小傷や経年変化も「味」として楽しみたい
ウォールナットが向いている人
-
とにかく濃いブラウンで、重厚感を出したい
-
ホテルライク・ラグジュアリーな空間が好み
-
床や建具もダークブラウンで統一している
-
高級感のあるコントラスト強めの木目が好き
まとめ:国産クルミは「暮らしになじむウォールナットの仲間」
-
国産クルミは、ウォールナットと同じクルミ科の仲間で、
明るめ〜中間ブラウンのやさしい色合いと穏やかな木目 が魅力。 -
北米産ウォールナットに比べると、
-
色:やや明るくナチュラル
-
硬さ:少しソフトでやわらかな触り心地
-
雰囲気:暮らしになじみやすい
-
という違いがあります。
-
「重厚でラグジュアリー」なウォールナット
-
「暮らしにすっと溶け込む」国産クルミ
どちらもそれぞれの良さがあり、どちらが上・下という話ではありません。
ぜひ、実物を見比べながら、ご自分の暮らしや好みに合う一枚を選んでみてください。

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