伐採されたあとも、木の内部には水分が残っています。その水分には、実は「2種類」あるのです。それが「自由水」と「結合水」。
一枚板が反ったり、割れたりするのも、この水分が関係しています。
自由水とは?
自由水は、木の細胞と細胞のすき間(細胞腔)にある水です。
これは、水たまりのように溜まっていて、乾燥が始まると最初に出ていく水です。
- 蒸発しやすい水分で、重力や風・熱で簡単に抜けます
- 含水率が30%以上のとき、多く含まれています
- 木の変形にはあまり影響しませんが、カビや腐れの原因になります
結合水とは?
結合水は、木の細胞壁そのものに「くっついている」水です。
木と一体化しているような水分で、乾燥してもなかなか抜けません。
- ゆっくり時間をかけて減っていく水分です
- 含水率が30%以下になると、結合水が減り始めます
- この水が抜けると、木が縮み、反ったり、割れたりします
「繊維飽和点」が変形の境目
自由水と結合水の境目になるのが「繊維飽和点(せんいほうわてん)」です。
一般的に、含水率でいうと「約30%前後」です。
この点までは木のサイズはあまり変わりませんが、繊維飽和点を下回ると、木が縮んでいきます。
自由水と結合水の違い
種類 | 存在場所 | 抜けやすさ | 木材への影響 |
---|---|---|---|
自由水 | 細胞のすき間 | 抜けやすい | カビ・腐れの原因になる |
結合水 | 細胞の壁の中 | 抜けにくい | 反り・割れ・収縮の原因になる |
一枚板にとって、なぜ大事なの?
一枚板は大きな木からそのまま切り出した、貴重な木材です。
この板が反ったり割れたりしないようにするには、乾燥がとても重要です。
- 乾燥が不十分だと、設置後に板がねじれたり割れたりする
- 含水率が10〜15%前後になるまで乾燥させるのが理想
- 乾燥方法には「自然乾燥」と「人工乾燥」があります
乾燥方法の違い
一枚板の乾燥には2つの方法があります。
- 自然乾燥(AD材):風や日陰でじっくり乾かす。木の風合いが残るが時間がかかる
- 人工乾燥(KD材):乾燥機で短期間に水分を抜く。反りが少なく安定する
まとめ|自由水と結合水を知って、後悔しない一枚板選びを
一枚板の美しさを長く楽しむためには、水分との付き合い方がカギになります。
「自由水」はカビを、「結合水」は反りや割れを引き起こす原因になります。
乾燥がしっかりされている板を選び、設置後の環境にも気をつけることで、
一生ものの家具として長く使うことができます。
祭り屋では自然乾燥の後に人工乾燥(低温乾燥)をおこなっています。
人工乾燥(低温乾燥)とは、木材を乾燥させる方法の一つで、比較的低い温度で時間をかけて乾燥させる方法です。具体的には、30~50℃程度の温度で、数週間から1ヶ月程度かけて乾燥させます。
低温乾燥の特徴:
-
メリット:
- 木材の風合いを損ないにくい:高温乾燥に比べて、木材の香りや色艶、本来の風合いを保ちやすい
- 強度や耐久性を維持しやすい:木材の細胞組織を壊しにくいため、強度や耐久性を損ないにくい
- 反りや割れなどの変形が少ない:低温でゆっくり乾燥させることで、木材の内部の水分が均一に抜けるため、反りや割れなどの変形が少ない
- カビや虫害のリスクを抑えられる:乾燥時間が長く、カビや虫害が発生するリスクを抑えられる